デザイン住宅と聞くと、多くの人が「デザインが良いだけで住みにくい」、そう考えるでしょう。しかしそれは誤解だと、 私たちは考えます。なぜならデザインは、使いやすさや快適さを追求した結果だからです。自動車が直線の組み合わせ から流線型へと変わってきたように、携帯電話がボタンを廃止してスマートフォンへと進化してきたように、あらゆる ものはその機能性を追求していく過程で無駄のないシンプルな形へと回帰していきます。「デザインは機能から生まれ る」、それは家にだって同じことが言えるはず。むしろ人生で一番高価な買い物である住宅だからこそ、無駄を省くこと で予算を抑え、そのぶん自分や家族が心豊かに暮らすための余裕ができるのです。“SIMPLE NOTE”はその名の示すと おり、シンプルな住宅を提供するという目的を貫きます。
「南向きのリビングに設けた、大きな窓」。いかにも家の中全体が明るくなりそうな、理 想の住まいを思い起こさせる言葉ですね。あなたがこれから家を建てるとして、南向きの大きな窓が生活シーンの中では実際に どんな役割を果たすのか、少し考えてみましょう。 まずは、期待どおりにリビング「だけ」は明るくなるでしょう。南側の窓から取り入れ た光は北側にレイアウトされた他の部屋までは届きませんから、それぞれの部屋にも大 きな窓を作るなど、光を採り入れる工夫をしなければいけませんね。 もしあなたが家を建てる土地が住宅地の中であれば、リビングが面している南側は車 や人が行き交う道路、もしくは他の住宅が接していることでしょう。そうなると、他人か ら丸見えのリビングで暮らすわけにはいきませんから、人目を遮るカーテンや庭木が必 要になります。 カーテンを閉めてしまえば光は入ってきません。 せっかく光を採り入れるために作った南向きの窓は、カーテンを閉め切って生活することでその目的を果たせないどころか、余計な費用で家 計を圧迫する原因になりかねないのです。 “SIMPLE NOTE”の建てる家は、外側に向いた窓がほとんどありません。もちろん、こ れまでの住宅でセオリーとされていた「南向きの大きな窓」も、です。 なぜなら、外壁に並んだ窓にどれだけデメリットがあるかを知っているからであり、 それらに頼らなくても室内に光を採り入れる方法を知っているからです。 「カッコイイけど住みにくい」。デザイナーズ住宅は、時としてそんな評価を受けるこ とがあります。住みやすさを考慮せず、「美しくデザインすること」だけを目的に建てら れたデザイナーズ住宅なら確かにそのとおりかもしれません。 しかし私たちが建てる家がシンプルで美しいことには、その一つひとつの要素に必ず 理由があります。「無駄を省く」「使いやすく」「維持しやすく」…これまでの住宅で当たり 前とされていたことを見つめ直すことで、結果として生まれる美しさなのです。
主婦目線で家を考えた時、気になるのは家事動線ではないでしょうか。実際、同じ家事で あっても動線が違えばその労力はグンと減らすことができますし、それが毎日のことと なれば積み重なる負担の違いはかなり大きくなります。
無駄に長く険しい移動を「最良の家事動線」と呼ぶことはできません。若いうち は何とか我慢できるかもしれませんが、何十年か後に足腰が弱ってきたあなたが、その 負担に耐えられるでしょうか。それならば平屋の家を建てて、中庭などを利用すること で明るい物干し場と脱衣所の距離を近く・平坦にまとめるほうが、よっぽど現実的では ないでしょうか。
“SIMPLE NOTE”の建てる家は、中も外もその名の通りシンプルな見た目が大きな特 徴です。しかしそれはデザインを優先した結果ではなく、使い勝手やコスト、そして将来 の暮らしまでをも見通した結果であることを、どうか忘れないでください。